*恋の味[上]*【完】
みんながいるから今の私がいる。
2学期、1かいも出なかった私を普通に接してくれた温かさ。
私はみんなが大好き。
お父さんと一緒に住むことになった私は、住んでいたボロアパートの一室を大家さんに返した。
大家さんは、凄く優しい人だから、「また、いつでも遊びにいらっしゃい」と微笑んでくれた。
長年お世話になった、このボロアパートは、今では新築マンションよりも輝いてみえた。
たくさんの思い出がつまった、この部屋。
アパートの前には、引っ越しトラックがリズムを奏でながら止まっている。
引っ越すんだぁ…。
と改めて思った。
せっせと荷物運びを手伝い、額からにじみ出る汗を首にかけているタオルで拭く。
あまり荷物がないため、すぐ運び終わった。
新しく住む場所は、最近たった高層マンション。
今と環境が変わると思うと、うずうずして仕方がない。
私はアパートに“思い出”を残した。