*恋の味[上]*【完】


「にしても何ー?何しにきたの?」

何しにきたのって、それヤンチャ小学生に言う言葉じゃない?

「んーと、お見舞い」

「お見舞い?誰の?」

「お母様」

「あ、入院……してたんだ」

「うん。あ、案内して。号室変わったみたいで、何練なんか分かんないし、地図見に戻るの、めんどくさいの」

いいとこに登場したんだから、少し使わせてもらわないと。

「いいけどぉ!てか、学年1位なのに、分かんないことってあるんだー」

“………ピクッ”

ありますよ。ええ、もちろん。

“人間”ですから。完璧SUPERガールでは、ありませんから。


「あーら、どうもスミマセンねぇ」

「いや、構わないっス」

イライラモードが伝わったみたい。

「じゃ、ついてきてね!歩きながら説明するから」

この病院広いからね。

「おーけい」

あの学校で貧乏さんなんて、私だけだったりして。


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