先輩と私。

「ありがとう」


私は席を立ち上がり、教室の入り口まで急ぐ。



「あっ、凪先輩!?」


「やっほー♪ 遊びに着ちゃった」


「あ、遊びに来た!? 大丈夫なんですか? すごい人が集ってますよ…」



そこにいたのは、凪先輩だった。


凪先輩は中等部でも絶大な人気がある。


明るくて、勉強もできて、美人で…。


すごいよねっ!


「ふふ、気にしない気にしない! ところで、遊びに来たって言っても…」


「はい?」


「拓からの伝言を伝えに来たのっ」


「伝言…ですか?」


なぜに伝言!?


メールでもいいのに…。



「そうっ。 『今週の土曜日暇か?』ですって」


「今週の土曜日…。 その日は大丈夫ですけど、どうかしたんですか?」


「『デートのお誘い』だってぇ? 自分の口で言えばいいのにねぇ!」


で、デート!


先輩からまさかそんなお誘いがあるとは、思わなかった。


「ま、『詳しくはお昼休みに』って言ってたから、それまで待っておけばいいんじゃないかしら…?」


「そうですかっ。 わざわざありがとうございます!」


「いいのよ♪ 末永くお幸せに♪」


凪先輩はちょっとだけ私をからかうと、


知らないうちにものすごい人数に囲まれていて「ぎゃああ!」となんとも言えない声をあげた。


とか言いながらも、囲んでいる人たちとなぜか会話を楽しんでいた。


凪先輩らしい♪


それにしても、デート…かぁ。


初デートだよね!?


今から緊張してきたぁ…。
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