美男子症候群!?

でも久木先生は、あたしを止めることもしないで、勝手な拳を黙って受け止めてくれる。



優しいから。


先生は、とっても優しい人だから。



こんなにかっこよくて、優しくて、素敵な人なのに……。




「どうして、好きになる相手が、先生じゃないんですか……っ」




好きになる相手が、久木先生だったら。



こんなにつらい思いをすることなんて、なかったのに。


きっと普通の女のコみたいに、普通の恋ができたのに。



すぐ傍から、真正面から顔を見つめて、ときめいて、


笑顔を交わすことだってできたのに。



運命の人が相手だったら、夢が全部叶ったのに。



どうして……




「運命なのに、どうしてなんですかぁ~……」




足の力が抜けて、ずるずると下へ落ちていくあたしの体を、


温かい腕がそっと支えてくれた。



こんな時でも、久木先生の体温と香りは優しくて、あたしの心を落ち着かせてくれる。


ふわりと抱きしめられて、なぐさめるように頭をなでられると、眠気さえ感じてきてしまうくらいに。

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