チョコレート大作戦!




紫色の生地に白い牡丹の花が彩る着物姿の女将さんが笑顔であたしに手を振る。



そしてこの人がこの旅館の女将さんでもあり、楓のお母さんでもある相沢鈴(アイザワ スズ)さん。



モデルみたいに華奢で、綺麗でお料理も上手で模範的女の人だと思う。


だけど顔に似合わず、天然ですごく陽気なんだ。


通称 鈴さん。



「鈴さん、お久しぶりです!」


「来てくれて嬉しいわぁ! さぁさ、どうぞ♪」








鈴さんに連れられて来たのは、長い渡り廊下の突き当たりにある小さな部屋だった。



襖を開けると6畳の畳部屋が広がり、小さなテーブルと座椅子が置かれている。


真新しい畳の香りが鼻をさす。



聞いたところによると、ここは待合室のようなものらしい。



「ここで、ゆっくりお話しましょ♪」



そう言って、座椅子に座ったあたしに、ふんわり湯気のたつ紅茶を差し出した。




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