夢のヒーロー
第一章
なんの希望もない荒れ果てた大地。数ヶ月もの間、ここには雨など降っていなかったのだろう。地面はひび割れ、この風景に緑などひとつない。


そんな場所に、何故かパジャマを着た15歳ほどの少年が立っている。少年の顔は、なぜ自分がこんな所に居るかわからない、といった表情で当たりをキョロキョロと見渡している。


「ここはいったい・・・」

そう言って少年は、終わりなき大地を歩き始めた。しばらく歩くと、容赦なく照りつける太陽が、少年の体力はどんどん奪っていく。


「ここはどこ?」


汗を拭いながら、力なく呟く少年は、心の隅で『水が欲しい』と微かに願った。
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