ガラクタのセレナーデ
真は、俯いたまましばらく黙っていたが、やがて、ゆっくりとその口から押し出すように声を発した。
「ボク、かっちゃんの隣も、裕子さんの隣もイヤだ」
「どうして?」
いろはが問うと、再び真は黙り込んでしまう。
だが不意に勢い良く顔を上げると、
「ボクだって、菊島センセーの隣がいい! たっちゃんばっかりズルイよ!」
いろはに向かって不満をぶつけると、途端、身を翻して駆け出した。
慌てていろはも後を追う。
だが、真は意外にもすばしっこくて、いろはは施設中を探し回るはめになった。
真は施設の裏庭にいた。
膝を抱えて175cmはある長身を小さくたたみ、建物の壁にもたれるように地べたに座っている。
そうして、施設で飼っている犬の『チロ』を眺めていた。
「ボク、かっちゃんの隣も、裕子さんの隣もイヤだ」
「どうして?」
いろはが問うと、再び真は黙り込んでしまう。
だが不意に勢い良く顔を上げると、
「ボクだって、菊島センセーの隣がいい! たっちゃんばっかりズルイよ!」
いろはに向かって不満をぶつけると、途端、身を翻して駆け出した。
慌てていろはも後を追う。
だが、真は意外にもすばしっこくて、いろはは施設中を探し回るはめになった。
真は施設の裏庭にいた。
膝を抱えて175cmはある長身を小さくたたみ、建物の壁にもたれるように地べたに座っている。
そうして、施設で飼っている犬の『チロ』を眺めていた。