探し物
向かった先は屋上


扉を開けると青空が広がっていて心地良い風が吹き抜ける


「あんた、なんで私のこと知ってるの?」

なるべく騒がれたくはない

周りも私の過去なんて知らなくていいのに

「俺、高条祐輔って言うんだけど、ストリートダンスって分かるか?ヒップホップとかのやつ」

それくらいは分かる
彼女だって舞台にたつ、言わば業界の人間だったのだ

「それやってたんだけど、ダンス関係の雑誌で天野を見て、【舞台側の人間は観客の為に生きていく】って内容の記事で感動してさ、同い年で他人の為に生きてるやつすごいなと思ったんだ。」


確かに言った覚えのある言葉
でも

「なぁ、どうしてバレエ辞めたんだ?」

「………あんたは、何かに絶望したことってある?」

質問を質問で返され、訳がわからないという顔をする会って間もない彼に、なぜかすべてを打ち明けたくなった。
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