EGOISTE

眠りの森

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２０年間の蟠りが少しだけふっきれたようで、俺の内心は穏やかだった。


ほんの少しだけ、だけど…


それでもその少しに幸せを感じて、今日はゆっくり眠れそうだ……


………と言いたいところだけど！


現実はそう甘くない！


今日は隣の病室がやたらとうるさい！！


何でも、盲腸で大学生が緊急入院してきたらしいのだが、そいつがかなりの問題児だった。


精神的におかしいんじゃないか？と疑ってしまうほどに、部屋で何事か喚いている。


「静かにしてください！他の患者さんに迷惑です！」


看護師が宥めるも、「うるせぇ！」ってな具合で怒鳴り返している。


さすがにびっくりして、俺は隣の足立のじーちゃんと顔を見合わせていた。


しばらくは黙って聞いていたものの、それが二時間も続くと、「最近の若もんはぁ！」とじーちゃんはいきり立って、怒鳴り込もうとしていたので、俺はそれを必死に止めた。


じーちゃんなんて、ひ弱なんだから、殴られでもしたら大変だ。


ってか、問題を起こしたくないし、巻き込まれたくないってのが本音だな。


そんなこんなで、朝方まで騒ぎは収まらず、結局俺は一睡もできなかった。






「林さん、大丈夫ですか？いつもにも増して具合が悪そうですが」


検温に来たナースが心配そうに眉を寄せ、ついでに俺に顔を近づける。


俺は若干引き腰。


「いえ、ただの寝不足です。昨日眠れなくて…」


「寝不足…ふぅん…」


ナースが意味深に目を細めた。