クロス・マインド
砂嵐の壁の反対側にも
砂漠が続いていた。
その先に微かだが家々が見える。



「……ってか…廃墟だな。人居んのかな。」

ショルダーから望遠鏡を
取り出して、観察する。
目に映るのは
崩れ、ボロボロになった家々。
人の住む気配は一切しない。





でもこれで確信できた。





望遠鏡をしまうと
コンパスと古い地図を取り出す。

砂嵐の壁を越える前は
廃墟すら無かった。
コンパスと地図からしても













「メリスに着いたんだ…」














目的地『メリス』
大陸の端に位置し
砂嵐の壁により孤立状態。


砂嵐の壁を越えた者の話は
聞いたことが無い。
自分も砂嵐に入り
正直、無理だと思った。

「ぶっちゃけ…どうやって越えたか覚えてないし…」


不思議に思うも次の瞬間には

「…オレって有名人になれる?」

思わず顔がにやける。



冗談はさて置き…
大きく背伸びをして
深呼吸をする。

「いっちょ、行ってみますか!」

コンパスと地図をしまい
廃墟の方へと歩きだす。

「お腹も空いたし…
ゆっくりお風呂も入りたいし…
寝床も確保しないとね。」


頑張るぞ!!
と、拳を突き上げ
気合いを入れる。









少し歩いて、ふと立ち止まり。



「……声が…聞こえたきがする。」



振り返り砂嵐の壁を見つめる。
あの中で何があったか全然覚えてない。



でも、聞いたはずの声…

気にしない事にしようっと。

どんなに考えても

解らないのだから…





「生きてるって事は…
助けられたのかな?」



不意に涙が零れる。



「そんなわけないか…
どっちかって言ったら…
お前の所に行きたかったのに。」



溢れでる雫を手で払いながら、
足を動かし再び歩きだす。
















この百面相を
見られてるとも知らずに………
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