気まぐれ社長の犬
「でも…私そろそろ限界かもしれませんね…これ以上飲むと、本当に潰れてしまいそうです…」
妃和がグラスを置いて俺を見る。
その顔はやはり赤くて、エロい。
「潰れるまで飲ませるって言ったよな?」
俺が笑顔でグラスを持たせると被虐的な顔に変わる。
「そ、そんなあ…」
こんなに可愛い妃和を見られる時なんて滅多にないしな…襲えない分、今日は潰してやる。
「乾杯」
妃和の様子が変わったのはそれから少ししてからだった。
突然妃和がソファーに座っている俺の上に向かい合わせに座ってきて、抱きつく。
妃和の長い髪に顔を埋めて匂いを楽しみながらさらさらのそれを指でとかす。
「妃和、どうした?」
「んー?触りたくなっちゃった。愛してるよー響城」
さらにきつく抱きしめる妃和に、俺は驚いて何も返せなくなった。
こいつが俺にため口で話すなんて初めてだし、呼び捨てにしたこともなかった。
セックスの時だって敬語で、さんづけだったのに…こいつ、どうしたんだ!?
「妃和…?どうした?」
「なにー?響城は違うの?」
不満そうな顔で少し離れ、俺の顔を至近距離で見つめる。