気まぐれ社長の犬

「残った仕事って書類の確認ぐらいだろ?俺がやっとくから妃和は寝とけ」


「そんなこと…させるわけにはいきません。響城さんだって疲れてるんですから、休んでください」


「ばーか。俺はお前がスケジュール管理とかボディガードしてくれてるおかげで常に気を張ってるわけじゃないからそんなに疲れてねーよ。着いたら起こしてやるから、ほらとっとと寝ろ」



優しい微笑みに少し気が休まる。



「ありがとうございます…それじゃあおやすみなさい…」



最近の寝不足もあってか私はすぐに眠りに落ちた。



響城さんに起こされ目が覚めるともう日本に着いていた。

体調も、少し寝たせいか良くなっている。



「大丈夫か?まだ体調悪いなら今日はこのまま休んでもいいぞ」


「いえ、だいぶ良くなりました。ありがとうございます。原因は大体わかっているので明日病院に行ってきてもいいですか?明日なら予定も全て国内ですし」


「ああ、かまわねーよ。でも原因って何なんだ?」



不思議そうに聞く響城さんに、言葉に迷ってしまう。

原因はわかってる。

だけどそれを伝えたら…きっと響城さんはボディガードを辞めろ、と言うだろうし仕事に付いて行くのさえ禁止させられるかもしれない。

やっぱり…言えないな。

一度開いた口を閉じて、もう一度開いた。



「最近忙しかったので、疲れが溜まってたんだと思います。ビタミン剤でも打ってもらってきます」


「ああ、そうしろ。明日は1日ちゃんと休めよ」



その言葉に頷き、私たちは機内から出た。






< 139 / 150 >

この作品をシェア

pagetop