気まぐれ社長の犬
「おい、何笑ってんだよ」
「いいえ…響城さんらしいな、と思って。ふふ」
「お前絶対バカにしてんだろ」
「響城さんのそういう所、好きですよ?」
私が見つめると響城さんは照れた様に顔を逸らす。
ふふ、可愛いんだから。
本当は響城さんの全てが愛おしい。
「ちょっとそこのバカップル。私の存在忘れてないでしょうね?」
「あっごめん忘れてた」
「ちょっとー2年ぶりに会う親友にそれはないんじゃない?」
「ごめんごめん」
むくれる紅をなんとかなだめながら落ちた木刀を拾う。
「せっかくだし今からお茶しましょうよ。積もる話もある事だし」
「んー…でも今日は…」
ちらりと響城さんの方を見る。
今日は病院に行くために休みをとった訳だし、お茶なんかしちゃっていいのかな?
響城さんは今日だって忙しいだろうし…
気持ちが伝わったのかああ、と頷く響城さん。
「行ってこいよ。お前が友達とお茶なんて珍しいしな。今日は元々1日休みにする予定だったし」
「いいんですか!?ありがとうございます」
響城さんにお礼を言って私たちは会社を出た。