気まぐれ社長の犬
夜になって響城さんが帰ってきた。
「お帰りなさい響城さん。お疲れ様です」
疲れた表情で返事をする響城さんを見るとやっぱり少し申し訳ない気持ちになる。
響城さんのスーツのジャケットを受け取りネクタイも預かる。
「お休みありがとうございます。今日1日しっかり休ませていただいたので明日から倍、働きますから!」
「お前なーそしたら今日休んだ意味がなくなるだろうが。お前はいつも頑張り過ぎなんだよ。程々にしろバカ」
呆れたように言う響城さんだけど、心配してくれてるんだなって言うのが伝わってくる。
だけど…
「あなた程バカではありませんよ響城さん」
ソファーにドカッと座っている響城さんの片足を跨いで抱きしめる。
「あなたこそ働き過ぎなんですよ、バカ」
「俺は…社長だからな。誰よりも働かないといけない。皆を引っ張っていかないといけない。でも俺はまだ未熟で…高槻や色んなやつに助けられてばっかりだから」
響城さんは私を優しく抱きしめる。
ああ…響城さんだって不安なんだ。
若くして日本を引っ張る大企業の社長。
良く思ってない人もいるから私がいるんだ。