気まぐれ社長の犬
「ホテルPINKBED」
「ピンクベッド?…って完全ラブホじゃねーか!!こんなとこにあったのかよ」
「まあ海が近くて人も少ないですからね。オーシャンビューじゃないですか。」
「これオーシャンビュー!?ただのきったねえ埠頭だろうが!!」
「あらそんな…今営みを行っている人たちに失礼ですよ。あの方たちはこれをオーシャンビューの部屋だと思っているんですから」
「なわけねーだろ!!お前ばかにしすぎだ。つーかこの近くってことはさっきの見られたんじゃねーか?」
「大丈夫でしょう。自分たちのやってることに必死でそんなもの聞こえてませんよ」
「ならいいけど…ってそうじゃねえ。何でお前あんなの見えてんだよ!!視力2.0の俺でも見えなかったんだぞ!?」
「そりゃそうですよ。私はそれ以上ですからね。だから言ったでしょう?私は目がいいって」
「お前どこの民族だよ」
「あら?日本人に決まってるじゃないですか。それより早く帰りましょう」
「納得できねえけど…そうだな。見つかると面倒くさいし」
響城さんが電話をすると、すぐに麻生さんが来てくれた。
「お疲れ様ですです」
車はゆっくり走りだし、家に向かっていく。
「そういえばあいつら、北条組のやつらじゃなかったよな?」
「気付きましたか」
「ああ。あいつらが使ってた銃は全部安全装置が付いてた。ヤクザは付いてない物を使うことが多いからな」
「そうですね。しかもあいつら弱いし気合いがなさすぎる」
「でも前調べた時は北条組のやつらだったから、途中までは本当に北条組だったのかもしれねえけど今日のはただのチンピラだ」
「ええ…きっと北条組も色々調べてわかったんでしょうね。あっ北条組にこのことを伝えるんですよね?」
「ああ。そうすればあいつらが梅原を潰してくれるだろうからな」
「では明日、事務所に出向きましょうか」
「ああ。電話しといてくれ」
「かしこまりました」
車が止まると私は軽く口角を上げ、屋敷に入って行った。