気まぐれ社長の犬
「おはようございます響城さん」
「おはよう」
「昨日北条組に電話しておきましたので、今日は事務所に行ってから会社に行きましょう」
「わかった」
私たちは車に乗り北条組事務所に向かった。
「到着いたしました」
「ありがとう。麻生はここで待っててくれ」
「了解しました」
「行くぞ妃和」
「はい」
階段を上り扉を開けると恐そうな顔の人たちが何人も中にいた。
「お電話した風間です」
「おお風間さん初めまして。どうぞ中に入ってください」
「失礼します」
私たちは組長の向かい側に座らされた。
「今回は失礼しましたな。何も知らず依頼を受けてしまったもんで。まさか風間さんが妃和ちゃんの婚約者だったなんて知らなくて」
「妃和を知ってるんですか?」
「もちろん。妃和ちゃんのおじいさんとは知り合いなんだ。妃和ちゃんとも昔はよく遊んだよ」
「ええお世話になりました。今回の件もありがとうございます」
「いやいやこちらこそ悪かったよ。大丈夫だったか?あんたにケガでもさせたらわしが無事じゃすまんからの」
「そんな……」
「ちょ、お前なんなの?」
響城さんは意味がわからないという顔をしている。
まあ当たり前だよね。
北条組の組長と知り合いだなんて響城さんには言ってなかったし。
「あー神崎組って知ってますか?」
「知ってるよ。あのめちゃめちゃでかくて権力のある組だろ?有名じゃねーか」
「あの組長、私のおじいちゃんなんです」
「はあ!?えっ…はあ!?」
響城さんは目を見開いてすごく驚いている。
…なんか面白いかも。
さっきまでの余裕の顔はどこに行ったんだか。