気まぐれ社長の犬


もう…限界かもしれない。

時計はちょうど12時を差した。



――昔、シンデレラに憧れたことがあった。


王子様に見初められ、魔法が解けて辛い生活に戻っても王子様が助けにきてくれる。

そんなシンデレラに、幼いころの私はなりたいと思っていた。


ただ…どんなにパーティーに出ようと、男が集まってこようと、私を助けてくれる王子様なんていなかった。

当たり前だ。
私は魔法なんてかけてもらえないし、汚れているから。


それにここはおとぎの国じゃない
汚いものだらけの現実だ。

だからそれに染まった私は、もう憧れたお姫様にはなれない。

バカみたい。


…でも最後くらいぶってみようじゃない。

靴は落とさない。

だけど12時に、響城さんに気付かれないようにそっと会場を出て、タクシーで風間さんの家に向かった。


長い幸せの魔法は解けた。さあ、またいつもの生活に戻ろう――



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