気まぐれ社長の犬
目を覚ますと、全く知らない部屋のベッドで私は眠っていた。
ここ…どこ?
昨日私、家を出たら誰かに襲われて…あっ出なきゃ!!
私はベッドから出ようとするも、体が動かない。
見ると手と足に手錠がかけられている。
しかも手は後ろ手。
はっご丁寧なことね……
ベッドから起き上がった時、部屋の扉が開いた。
「起きたんだね、妃和さん」
「咲本さん!!」
笑顔で部屋に入ってきた咲本さんは、私のいるベッドの隣に椅子を置いて座った。
「どうしてこんなことしたんですか?」
「あなたが欲しかったからです。風間さんを殺してからにしようと思ったんですけど、邪魔するから…だから無理やり奪ったんです」
「奪った?ははっこんなことしなくても私はもう響城さんのものではありませんよ。婚約は解消しましたから」
「解消!?…そうか。ならちょうどよかった。妃和さん、僕と婚約してください」
「嫌です」
私は笑顔で即答した。
「ははっ冷たいですね。でもあなたに拒否権はありませんよ。もしあなたが断れば風間さんは殺します。昨日みたいに守ろうとしても、あなたはここから動けない…どうしますか?」
はっ…笑わせる。
もう私は響城さんとは関係ない。
だからどうなろうが別にいい。
でも…私、恩返しできなかった。
それに家に帰っても道具にされて弟に犯されるだけ。
なら咲本さんの言うことを聞いた方がましかもしれない。
「…わかりました。婚約者になります」
「契約成立ですね。そんなに風間さんが大切ですか?」
「違いますよ…ただ、私のメリットを考えただけです」
「そうですか…まあいい。これであなたは私の物だ……やっと手に入った」
愛しそうに私を抱き締める咲本さんの胸の中、私はただ冷たく暗い闇の中に沈んでいくのを感じた。