導く月と花に誓う
…あれ…?
しかし、周りを見回しても誰の姿もなく、ましてや人の気配さえもなかった。
気のせいだったかな…?
そう思い、カバンの中からルーズリーフを取り出した瞬間…
突然、ゴォ…という音を立てて、ものすごい風が吹き抜けた。
「…あ……っ!」
それと同時に持っていた紙が風に乗せられて、ふわんっと、あたしの手を離れ、宙へ舞い上がってしまった。
あたしは急いで石段を飛び降りて紙を追い掛ける。
すると、ふよふよ、と宙を進んでいた紙が突然、誰かの手によってその動きを止めた。
あたしはそれを見て、足を止める。
前方にいる、紙を取ってくれた人はゆっくり、あたしへと近づき。
そして、紙を差し出すと同時にあたしに対して跪いてきた。