導く月と花に誓う
「貴方に会える日を…
ずっと、心待ちしておりました」
あたしは紙を受け取ったまま、目の前で跪いている彼の言葉にただ一驚(いっきょう)した。
驚き過ぎて言葉も出ない。
そんなあたしを余所に彼は、スッと立ち上がるとポケーっ、としているあたしを見据えた。
さらり、とした銀色の髪。
妖艶で、吸い込まれそうな淡青の瞳。
纏う黒いスーツはとても似合っている。
目の前の人は、完璧すぎる人だった。
「…いや…ちょっと…、あの…
…さっぱり意味が…」
そんな人を目の前にして、ようやく出た言葉は全くまとまっていなかった。
マヌケにもほどがある。
「意味なら、十分にあります」
しかしそんなあたしを余所に彼はふわり、と微笑みながら続けた。
「貴方は私を救ってくれた
命の恩人だからです」
「…は…?…あたしが…?」
さらにあたしの頭はこんがらがる一方。
救った…?…あたしが?
この人を…?
…いつ…?