【完】甘い恋よりもそばにいて
状況は嘘のようにすんなりと
頭の中に入った。
こういう事実の呑み込みは
我ながら速いと思う。
つまり、
あたしも彼と同じ一言を発することで
何の問題も起きない、
というわけだ。
「由奈さんにまたお会いで来て嬉しいです。婚約者の方、おっしゃってた通りすごく素敵な方ですね。はじめまして、清水莉華です。よろしくお願いします」
婚約者
はじめまして
自分に暗示をかけるように
あたしは挨拶をした。
由奈さんは照れくさそうな顔をして
啓は口の端をゆっくりと上げて
微笑んで見せた。
「俺は横田歩、一応この中で最年長なんでよろしく、自己紹介も終わったしそろそろ中入るか…」
あたしの右手を握って
彼は足を進めた。
それを合図にしたように
由奈さんと啓も後ろからついてくる。
今日1日、
俺のそばを、隣を絶対離れないって
先輩の言葉がこだまする。
先輩に強引に連れられながら
あたしは深く深呼吸した。
大丈夫、彼なら
先輩ならあたしを守ってくれる…
どんな不安も先輩なら拭い去ってくれる
あたしは信じよう、
かけがえのない目の前にいる愛しい人を。