君しか見えない。


俺のオヤジとミズのオヤジは、大学の同級生だった。


それから二人は、同じ会社に就職して。

お互い結婚が決まって。

仲が良かった二人は、同じマンションの隣の部屋に住むことを決めたんだ。


そして、合わせたようにして同じ年に俺らが生まれた。


だから、俺とミズは生まれたときから一緒だった。




俺たちはいつも一緒で、

幼稚園の時なんかは「結婚しようね」なんて話もしてて、

だけど今は――…



会話をすることも、なくなった。

それはきっと、うちの両親の離婚が原因だった。



ある日突然、俺の母親は出て行った。




「だいじょーぶ…?」




そう言って、必死になぐさめようとする幼い頃のミズの泣きそうな表情は、今でもはっきり覚えている。




「…うぜーんだよ」




だけど俺は、そんなミズの気持ちを振り払った。




「他人ごとだと思って気安いこと言ってんじゃねーよ!」




俺のこの言葉に、ミズはただ謝った。


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