有意義な時間の使い方
死神と俺
── 明日自分が終わるなら
……なんて質問はどこかで聞いたり見たりしたこと、絶対にある筈だ。
でもそれをみて「自分は違う」ってみんなが思っている。
そう── 俺がそう思って居るように。

毎日学校に行って、毎日勉強して、毎日遊んで── なんて繰り返して大人になるんだって思って居た。大人になって気がついたら誰だかわかんないけど誰かと結婚して子供が出来てじじいになるんだって思ってた。
当たり前に、本当にみんながそうであるように自分もそうなんだ── そう思って居た。
(……てか、俺死亡?死亡フラグ?)
フラグを回収した覚えは無い。
回収した覚えは無いけど── 今俺は多分死んでいる。
何せ……目の前にはまぁ……『オムカエ』が居るのだから。
(『オムカエ』ってマジ『オムカエ』なんだな……)
某週刊誌で見たような刀を持った黒装束ではないが、なんていうか……『死神』が前に立っている。
(てか……顔色の悪い俺?)
死神の鎌と黒いぼろ布。まぁ……定番の死神装束ってやつだと思う。実際……まぁ……RPGだとかそういうので出てくる死神的正装と思える程度には自然だ。ある意味自然すぎるかもしれないが。

「……あ……てか、死神?アンタいわゆる死神ってやつ?」
「驚かないのか?普通……死神からの迎えが来たら怯えるのが当たり前の行動だ」
「……いや、驚いたけど……な」

え?自分?
って思ったのは嘘じゃない。だって目の前に自分が居たら普通に驚くだろう。誰だって。
双子だってまったくのくりそつなわけじゃないんだし、どっか違って、違うってわかってるから多分驚かない。でも── 。
髪型、顔立ち、それから爪のかたちまで── よく見たとは思うけど── 全く同じ。
自分がそこにいる── って普通に受け入れられる程度にはそっくりだ。

「……どっぺるなのか何なのかって思ったけど……その鎌で納得?みたいな?」

世界には自分と同じ顔の人間が居る── らしい。
だけど……一般常識として鎌をもったそっくりさんが居て堪るかって思う。警察捕まえろよ── でも俺は捕まえないで── とか思う訳だ。
普通に考えてその状態で掴まらなくて、顔色悪くて……ってまさに死神DEATH?ってかんじだろう。……うん。
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