永遠の翼
「おはようございます」


ダイニングへと降りる。


「おはよう、優子」


秋夫さんの挨拶を受ける。


『優子』という名前を呼ばれて。


その言葉は暖かい。


既に食卓にいた宏さんや詩織とも挨拶を交わして、席につく。


「秋夫さん、昨日は何してたんですか?」


宏さんが尋ねる。


「大切な用事だ。俺の未来が決まるかどうかのな」


「・・・テレビがですか」


「観てたのか」


「たまたまテレビをつけたら」


「最高だったぜ、昨日は。ストレス発散できた」


「・・・テレビの前で甥をストレス発散に使わないでください」


話がまったく見えてこない。


「テレビって何ですか?」


「俺が昨日、テレビで大活躍したのさ」


「替え歌の番組だよ。お前も知ってるだろ?」


「ああー、アレに・・・」


「・・・お父さん、アレに出たの?」


詩織がしかめっ面で訊く。


「ああ」


「恥ずかしいからやめてよ・・・」


そう言う詩織の声は、どこか明るかった。


こんなにバカな話題でも、笑顔がこぼれる。


この家族が、うらやましいと思った。


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