永遠の翼
「・・・優子?」


「え・・・・・・?」


隣から、茜の声が聞こえた。


それで我に帰る。


「あ・・・ごめん」


「どうしたんですか、ボーッとして」


フフ・・・とからかうように訊かれる。


その微笑には、大人の余裕が感じられる。


「いや・・・私たちが初めて会ったときのことを、ね」


「そうですか・・・懐かしいですね」


「そうだね・・・」


夕焼けの中、しみじみとする。


(人生は宝捜し、か・・・)


あの日の、茜の言葉は、私を救ってくれた。


けど、私は。


新しい『宝』を見つけられずにいた・・・


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