永遠の翼
・・・ただ。



―――もしかしたら。



わたしは立ち止まって、雪をすくう。



冷たい雪。



溶けることも・・・



積もることもない雪を。



―――この雪が、いつまでも同じ姿であることが、悲しい。



―――そういうことだと思う。



雪を地面へと落とす。



―――そうなんだ・・・



彼が納得したかのように言った。



―――行こう。



今度はわたしが先を促す。



―――うん。



わたしたちは、また歩き出した。



悲しい世界を。



永遠の世界を。


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