先生は蒼い瞳の狼くん
「あ、こら…泣くなって言っただろ」
「…ぅっ」
だ、って―…先生ってば…さっきまで私を突き放したくせに、いきなりこんな風に優しくして…狡い
その行動が狡い
その声が狡い
その手が狡い
その温もりが狡い
そして―…
なによりも………
「聞かない…んですか?」
「ん?」
「私が、嘘をついて…ここに来た理由を…」
「………」
普通なら、絶対に気になるはず
ましてや先生なら、その理由を問うのは当たり前なのに…先生は全くその話題を私に振らない
どうして?聞かないの?
「なんで…先生?」
私の呟きに、軽く微笑みまだ出てくる涙を拭いて口を開く
「理由を、聞いて欲しいのか?」
「っ…そ、れは」
「言いたくないんだろ?見れば分かるんだ…だから、聞かない…ただこうして雪村が元気なれば、それでいい」
先生…っ
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