終末の法則
「なに言ってんのよ。クロウがそんな女の子みたいな名前なわけないじゃない。クロウ、クロウ、なぜあなたが黒騎士なの!」

 仕方ありませんね。かなり根強く記憶しているようです。ここはこのまま続けましょう。

 勇者は黒騎士の傍らに駆け寄った。その途中で、想形成が崩れ、装備が消えた。

「クロウ、どうしてあなたが……」

 血にまみれた黒騎士を抱き起こしながら言った。

「これでいい、邪神兵に殺されたものは、魂を自由に出来ない。全て邪神に貢がれ、もしくは俺のように利用される。急げ、邪神は間もなく世界の終末と共に復活する。最後の儀式で、奇夢露が自らを邪神に捧げてしまったら、誰も邪神復活を止めることは出来ない」

「でも、あたし、クロウを……」

「気に、するな。これで邪神の呪縛から解放される……騙されるな麗。今の言葉は偽りの言葉だ。時晶球は道具に過ぎない。使用者の意志を反映しているだけだ。思い出せ、麗、本当のお前を。記憶は言葉だけではないはずだ。呪縛はまだ続いている……」

 ええい、余計なことを。せっかく黒騎士に取り上げて再登場させたのに。

「なんのこと?」

 いえいえ、こちらのことです。

 そして、黒騎士は勇者の腕の中で息絶えた。

 さぁ、これで後は奇夢露を残すのみです。

 最終章に行きましょうか。
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