終末の法則
「やっぱり、知ってて言ってるわけね。デイアメイヤが、古語で『富と豊穣』を表して、デイアメイアが『力と殺戮』を表しているって事」

 もちろんですとも、私を誰だと思っているのです。

「戦災孤児をからかう変なおっさん。人権擁護委員会に訴えてやる」

 残念ながら、あなたは戦災孤児ではなく、勇者なのです。勇者には人権はありませんから訴えることは出来ません。

 勇者というのは運命によって使命を果たさなくてはならないのです。それはあなたの生まれる前から決まっていた事柄で、あなた以外の皆さんが邪神兵に皆殺しにされたのも、あなたの勇者の運命によって決まっていたことなのです。もしもあなたがここで勇者であることを認めないのでしたら、魂を陵辱され、殺された村人およそ千五百人が浮かばれませんよ。中にはあなたのご両親や姉弟、親友もいるのでしょう?彼らはあなたの持つ勇者の運命によって宿命づけられて死んでいったのです。言い換えれば、あなたがいたために殺されたのです。あなたがこれから勇者たらんと運命を受け入れ、使命を果たせばそれも無駄にはならないのです。
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