終末の法則
「何を今更、だいたいあんたいったい何なのよ。悲劇のどん底から立ち直ろうとしているか弱い女の子を捕まえて、勇者だ運命だって喚き散らして。何様のつもりなの」

 私ですか?私は歴史の語り部、伝説を綴る者、歴史があって私があるのではなく私が綴ってこそ歴史がある。そう、私はただの伝承者です。ですから気にしないで下さい。どうせ私が選んだあなた以外には認識出来ませんから。

「何かそれっておかしくない?だいたい、その両手で持ってる水晶球は何なのよ。あたし達が話すたびに明滅してるけど」

 これは太古の制言師イクスォール様が創られた時の結晶、歴史を刻む時晶球です。これに歴史を綴るのが私の仕事です。こうやって話していることも綴られます。私は、伝承者ですので話した言葉は地の文となり、その他の人の言葉は台詞として記録されるのです。いったん記録したものから今話しているような無駄な部分を削除して、全体を整えて作業は終わります。
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