クリスマス・ハネムーン【ML】
「わたしの借りたホテルは、ここから若干離れてて。
 霧谷さんのご用が務まらないんですよ。
 見れば、このコテージは、リビング・ダイニングやキッチンの他に、部屋が三つもあるじゃないですか。
 場所も海の上ですし。
 目的が海洋調査なら、一人一部屋ずつ使えば丁度良いかな、と」


 ……なんだって!

 佐藤の言葉に、思わず、眉が跳ね上がる。

「あなたは、休日中、ずっとここに居座るつもりなんですか!?」

 僕が叫ぶと、佐藤は、びくっと身を震わせて一歩下がった。

「居座るだなんて、そんな……
 ああ、そうか。
 滞在中の費用は、もちろん。
 我が社が全額負担しますから。
 相模さんも、飲食したら、領収書を貰っておいてくださいね?」

「そんな問題じゃない!!」

 睨んで、詰め寄る僕に、佐藤は、慌てて、ぱたぱたと手を振った。

「だから、なんで、相模さんは怒ってるんですか~~?
 霧谷さん、ご本人が居らっしゃらない時は、相模さんはお休みですよね?
 雇い主さんがパーティに行かれれば。
 自由時間が増えて、良かったじゃないですか?
 これから、わたしが全員分のの夕飯を作り。
 霧谷さんのお迎えもする予定ですが、なんでしたら。
 霧谷さんが帰って来るまで
 ビーチで、女の子でもナンパして、食事に行って来ても良いですよ?
 せっかくのクリスマスです。
 仕事とはいえ。
 ずっと男性の相手ばかりじゃ、つまんないでしょう?」
 

 ………!!!!


 佐藤の言葉に、僕は、言葉を失った。




 怒りで。

 



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