クリスマス・ハネムーン【ML】
 

 ぱしんっ!



 乾いた音も、高らかに。

 僕は、頭にあったジョナサンの手を払うと。

 そのままぐぃ、とひねりあげた。

「Auchi!
 No~~No、No、No~~!」

 腕を逆関節に曲げて痛いのは、日本だけでなく。

 オーストラリアの人間も変わらないみたいだ。

 思ったよりも、大分遅かった、ジョナサンは。

 あっさり僕に腕を取られて、涙目になった。

「……僕に触るな、って言ったよね?
 それ、髪もなんだけど?」

「わ……わわわっ!?」

 思いもよらなかったらしい、僕の行動に。

 じたばたと逃げ出そうとするジョナサンを更に締め上げ。

 僕は彼の耳元でささやいた。

「見た目はともかく。
 僕がそれほど、弱くない、って今なら納得してくれるかな?
 僕は『好きで』霧谷さんと一緒に居るんだよ。
 ……これ以上、彼を侮辱したら許さないから、ね?
 あーゆー、おーけー?」

「YES YES!
 判った!
 判ったからっ~~!」

 ジョナサンが、がくがく頷いているのを見て。

 僕は、ぱ、と手を放した。

 すると。

 ジョナサンは、大きく僕から飛び離れて呻く。

「う……強っよ!
 怖っわ!
 こんな、女みてぇな野郎のくせに!
 捕まったら、この俺が、動けねぇなんて!」

「……誰が女みたい、だって?」

 更にジョナサンが踏みつけて行った僕の地雷にピクリと反応して、睨めば。

 ジョナサンは、あわわわっと手を振った。

「No~No~~!
 こっちの話!
 それより、Youって何者だよ!?
 日本の看護師って普通~~みんな、こうなのか!?
 こんなに強いのか!?」

 ……そんなわけ、あるか!!

 と怒鳴ろうと、ジョナサンを見れば。

 何だか、本当に驚いているように目を丸くしている。

 それが、あんまり面白いので、僕は、ついからかった。


「……ふん、そんな莫迦な。
 僕だけが特別に決まってるだろう?
 なにしろ、僕は。
 ……忍者だから」



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