クリスマス・ハネムーン【ML】
「そんな話も、世界も。
 わたしは今までちっとも知りませんでしたっ!」

 そう、吐き捨てるように言う、佐藤の声が、胸に突き刺さって、悲しい。

「佐藤さん
 僕は……僕たちは……!」

「『僕たちは』なんて、霧谷博士まで巻き込むような言い方をしないでください!
 わたしは……今まで、博士の事を本当に尊敬してたんです!
 なのに……なのに!
 螢さんっ!
 あなたみたいなヒトがいたなんて!
 信じられません!
 博士を汚されているみたいで、ものすごく、悔しいですっ!」

「Mr.佐藤。
 ノンケの(男同士の恋愛に興味のない)アンタにとっては、かなりショックかもしれねぇが……
 そんな言い方は、無えんじゃないか?」

 かなりキツイ佐藤の言い方に、ジョナサンは割って入ってくれたけれど。

 ベットの上で、大人しくしてなくちゃいけないはずの佐藤は、ジョナサンを睨んで追い払うと。

 僕に向かって、鋭くささやいた。

「……わたしだって、言いたいことを言って良い、というなら。
 是非とも、主張したいことがあります!」

「一体、何を……」

 言いだすんだろう。

 なるべく取り乱さないように、と唇をかみしめる僕に、佐藤は言った。

「わたしだって……口に出してもいいのなら……
 霧谷博士の事が……好き、でした」

「佐藤……さん……」

 ……そうだったのか……なんて。

 言われてみれば、佐藤の言動には、思い当たる節がある。

 そもそも。

 年末、年始の長期休暇を海外で過ごす、と宣言したハニーを追っかけるなんて。

 いくら、外国旅行に慣れていても普通は、出来ない。

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