クリスマス・ハネムーン【ML】
「それで、少しは見直した?」

「……かなり。
 とりあえず、ヒトは見かけで判断しちゃいけないかな、と思うぐらいには」

 途中で、見捨てられても文句が言えないのに。

 自分だって潮に流される危険を承知で助けてくれるなんて……と。

 僕の腕の中で感心したようにもごもごと呟く佐藤に。

「別に。ただ、見捨てると寝覚めが悪いからだけだ」

 と、返して僕は、泳ぎに専念するふりをする。



 佐藤は、僕の背中と傷を見た。

 でも、その過去を知らないはずで。

 僕のことを知ったヤツには良く指摘される、外見とはあまりにも違う本当の本質を知ったとき。

 それでもなお。

 ハインリヒをよろしく、と言ってくれるのだろうか。

 ……なんて。

 まるでため息みたいな吐息をついて、僕は、もう一度。

 海面に浮かぶように光が瞬く、工場群に向かって泳ぎ出した。











 

 

 
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