カウントダウン


「彩音ちゃん、ここの窓から悠斗見えるから応援してあげて」


優しい笑顔でそう言う翔さんは、もう目の奥が笑っていないなんて事はなかった。


「翔さんは、どうして私を知ってるんですか?」


「そりゃ、悠斗があんだけ真剣に話すりゃ印象に残るだろ。早く会わせろって言ったんだけど、ここにはほら……茉莉ちゃんの言うようにハラを空かせたオオカミさんがたくさんいるから、悠斗のヤツ連れてきたくなかったんだってよ!!マジウケる。かわいートコあるよな!!」



「私も彩音ちゃんの話聞いてたよ〜。あ!自己紹介まだだったね。私、茉莉。よろしくね!因みに私と翔は彩音ちゃんのイッコ上ね。悠斗はね、彩音ちゃんの事は本当に大事にしてる。だから、本当に信頼してる人にしか彩音ちゃんの話をしないの」


「なー、俺と茉莉ちゃん信頼されてんだよねー」


ラブラブの二人は顔を見合わせて嬉しそうに微笑んでいた。



窓の外では声援が大きくなっていて、ソチラをみれば祐介のアシストで悠斗がゴールを決めていた。



「あの二人、本当にいいコンビだよな。ああやって祐介はサッカーに限らず悠斗をサポートして支えてんだ。悠斗も祐介の凄さを分かってるから、誰よりも信頼してる」



翔さんの見守る先では、悠斗と祐介がハイタッチをしている。



「彩音ちゃん、悠斗は酷い男だろ。そのほっぺが赤いのも悠斗絡みのトラブルだろ?今まで、あんなだらしねぇ男の側にいてくれてありがとな」


「……いえ、私は」


「アイツ、愛情の求め方も与え方も分かってねぇんだ。本気の女には超がつくほど不器用なんだよ。モテキングなのになー」





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