カウントダウン


「本当にもう、いいんです。私……そろそろ悠斗を解放してあげなきゃって思ってます」


「早まるなっ!彩音ちゃん、別れるとかダメ。これからだよ。悠斗もちゃんと分かってるんだよ。だからね」


「翔さん、私……本当にちゃんと、決めたんです。それに悠斗にはお気に入りの女の子がいるって聞きました。私がいなくてもきっと大丈夫です」



「あー……それは、根本的に違うんだよ。彩音ちゃんは本当に特別。この前もその話で朝まで語り合ったんだゼ!?悠斗は甘えてんだよ、彩音ちゃんに。彩音ちゃんからしたらいい迷惑だろうけどな、でも俺もちゃんと忠告した。俺も茉莉ちゃんも彩音ちゃんに全面的に味方になるから、だから悠斗を頼むよ……」


それに対しての返事が出来なかった。どうしてこの二人がこんなに必死に悠斗の側にいることを勧めるのか分からなかった。


ただ黙って話を聞いて、窓から見えるサッカーに勤しむ姿を眺めていた。


無意識に見つめる先は、悠斗ではなく祐介。


今日、あの女の人と結局どうなったのかは分からない。それでも、目で追って心の奥で応援しているのは紛れもなく祐介に、だった。



「いいチームだろ、俺たち。バカばっかりだけどな。バカばっかりだから掟も厳しくしてる」


「あ、聞きました。優衣……智也先輩の彼女と私友達で、その関係で……」


「マジ!?世間って狭いなー。智也の彼女も美人だよなー。ま、茉莉ちゃんに勝てる女はいないけど。彩音ちゃんもごめんね、かわいーけど、悪いっ茉莉ちゃんに勝てる女はいねぇ」


「なに言ってんのよ翔のバカ!!もーバカな男でごめんね」



なんて二人のやりとりに心かあったかくなった。
悠斗の周りにはこんなに温かい人達がいるのに、どうして悠斗だけあんなになっちゃったんだろう。


それは、私のせい?






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