カウントダウン
ケンカしたあの時、第二理科準備室で待ち合わせてる事はバレてはいないけど、彩音が二人分の弁当を持って何処かに行くって事が悠斗の耳に届いていた。
それと一度だけ彩音と一緒に教室に戻った事がある。
その事を面白おかしく尾ひれをつけて悠斗に言いつけたのは間違いなく取り巻きの女たちだろう。
その事に関してどーゆー事か説明しろって言うから、俺はあえて説明しなかった。
それは俺と彩音の秘密だから。
想像に任せるって言えば悠斗は俺にこう言った。
『彩音は欲を吐き出すだけの女とは違うんだ。俺のモンだ、ちょっかい出すなよ』
許せねぇ。
とっさに浮かんだ感情はソレ。
あの時は冷静じゃいられなかった。
『彩音は俺にとっても大事な女、溜まった欲を吐き出すだけの女とは思ってねぇ。だからその言葉、そのまんま返すよ?悠斗は自分の彼女だって言いながら欲を吐き出すだけの女にしてんじゃん』
昼休みにどこで会って、どんな会話をして、何をしているのか、全く分からない悠斗は俺たちの密会についてではなく“俺にとっても大事な女”と言った事に対してブチギレた。
殴り合いになる寸前で止めに入った翔さんのお陰でおおごとにはならなかったが、そん時吐き出した俺の彩音に対する感情は、悠斗に攻撃的に向かった。
『悠斗といて辛そうな彩音なんてもう見たくねぇ。いい加減な付き合いなら早く解放してやれよ!!』