カウントダウン
「……入り込んでんじゃねーよ。俺達の関係はこれで良かったんだ」
何があっても彩音は俺から離れない。
酷い言葉をぶつてきたし、満足に抱いてもやらなかった。
それでも、彩音は俺を好きだと言ってくれる。離れたいと思ったとしても、彩音は絶対離れねぇ。
アイツだけだ。こんな俺を理解してるのは。
彩音が求めるものは見た目でも身体でもねぇ。俺の心。
1年近く、彩音は妥協なんて一切しなかった。他の女は心が手に入らないなら身体だけと必ず妥協した。
彩音に対するように乱暴に抱けばすぐ怒って離れた。
彩音だけ。俺の心を求めて必死にすがるのは。
愛しくて愛しくて、もう手離せねぇんだ。
「良いわけねーだろ?どんだけ泣かせてんだよ。……きっと、俺が知ってるよりずっと苦しくて悲しかったんじゃないの?彩音泣かせてそんなに楽しいかよ?」
笑いもしねぇ。真剣な表情の祐介は、今までの横暴でデリカシーのカケラもない男とは別人だった。
真剣に、俺と向き合っている。
思えば、冗談まじりに馬鹿やってばっかだった俺達が真剣に話し合うなんて今までなかった気がした。
まさか女の話で揉めるなんて、中学の頃の俺達が知ったらどんな反応すんのかと思えば笑える。
今日は、誤魔化さないで誰にも言わなかった本音をぶちまけてもいい。
祐介に勝てる方法なんて見つからねぇが、彩音は譲れねぇから。
「彩音泣かせてそんなに楽しいか?……だっけ?
その答えを一言で言うなら“快感”。これ以上の言葉は見つからねぇよ」
祐介、お前には分からないだろ?俺が彩音にどれだけの愛情を注がれてるか。
俺しか感じる事が出来ない愛。