カウントダウン



「……へぶっ、って。色気皆無だな。何にもない所で転ぶか普通。っとに、ドジだなー彩音は」


ゲラゲラ笑う目の前の男がムカツク。


だって、砂浜って歩き辛いじゃん。


「……顔からいったから、へんな声でただけだもん。


てか、ドジだなんて心外だ」


頬とか鼻とか、いっぱい砂を付けて起き上がる私は、確かに色気皆無だと思うけど、そんな指差して咳き込むほど笑わなくても。


ムカツク。



「いや、ドジだよ。俺、いつもそんな姿ばっか見てる気がする。アンタを最初に見たファミレスだって、下げるフォーク落としてさ、拾って立ち上がった時テーブルに頭ぶつけてその衝撃でナフキンぶちまけて慌てて拾ってさ……」



「……そ、そんなとこまで見てたの」


「俺のテーブルでやったからな。あとは、ガッコーでもそうじ用具ぶちまけて、おまけにバケツの水をひっくり返してたし、後は……」


「も、もーいいです!てか見すぎだから!!」


「だってそーゆーとこ、見てんの好き」


「見てないで助けてよ」


「俺が人助けするキャラかよ」


「人として助けなさいよそこは」


「俺が助ける前にアンタのクラスの女達がすぐ助けに来んだろ?いーじゃんそれで」


「へへん、ウチのクラスは結束が堅いからね!」


「……それに、アンタがドジってたら悠斗はいつも助けてた。困った時に現れる王子様はいつだって悠斗だっただろ?」




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