カウントダウン
「フツーの感覚持った女なら、アンタじゃ勃たねぇとかヤりたくねぇとか言うだけで怒ってどっか行っちゃうんだよねー。サイテーとか捨て台詞まで吐いてさ」
うん、サイテーだもの。とは言えない。
「だって初めて見る女にいきなり好きだっていわれてもさぁ、ねぇ?」
「ねぇ?じゃないよ。フるにしたって普通の言い方があるじゃん」
「俺優しくねぇし。それにずっと、いいって思える女は彩音だけだったし。他の女がどう思っても、アンタが俺をちゃんと知ってくれればいーよ」
「うん、ちゃんとサイテーだって知ってる」
笑顔で言えばむかつくって一言吐いてデコピンされた。
地味に痛い。
「でもさ、たまにいるんだ、あーゆーしつこい女。ただ抱かれたいだけの女」
「祐介……」
その言葉を吐いた祐介は、以前悠斗が嘲笑しながら自慢出来るとか意味わかんねーとか何とか言ってた表情に似てる。
イケメンって、楽しいだけじゃないんだな。なんて思った。
「あの後さ、人気のない所に連れ込んで、俺……何したと思う?」
「知らないよ、そんなの」
「正解は、昼メシ抜きの昼休み丸々説教コース」
「…………はぁ?」
「あん時は昼休みだったからだけど、放課後の時もあるし、授業サボる時も」
「何の説教するの?」
「そりゃあもー、好かれてもない男に欲だけで抱かれたいとかありえねぇから始まって、悪い噂の聞いた事のある女だったらそこをチクチクと攻撃して
あとは性教育の話。取り合えず抱かれたいなんて女はぜってー何かしらの性病持ってそうだし、持ってなくてもこんなことばっかやってたら病気にもなるし望まない妊娠なんかしたら傷付くのは男より女なんじゃねぇの?
って、言いたい事は山ほどあんだけど、たいていの女はイヤミとか罵倒に耐えきれなくて、サイテーって言って性病の話の途中で逃げてく」