カウントダウン



「そ、そっかぁ〜……ですよね、わっ、分かってたもん……はぁ」



お気に入りセフレ?
もーなんなのよ。おばあさんに傘を貸してあげた悠斗はどこ?自転車のチェーン外れて泣きそうな男の子を助けた悠斗はどこ?


私、なにやってたんだろ。本当の悠斗を知らなくて、長さだけは長い名ばかりの彼女。



「で、アンタまだ付き合う気?」


「……うん、決めたし」



「はぁ〜、で、マズイって言われ続ける弁当作って渡すワケ?」


「……うん。持ってくるなとは言われないから」


「アンタ……やっぱどMだわ、真性のどM俺初めて見た」


「どっ、どMとか言うな!!違うからっ」



デリカシーは本当にないみたい。場所もわきまえず酷いよ……。


恥ずかしい気持ちを紛らわすためにケーキを一口食べれば甘酸っぱさが広がって、不愉快だった気持ちが晴れた。



単純だな、私。



「甘いもん、好きなんだ、どMちゃんは」


「好き……って!本当にやめて、彩音って呼んで」


キッと睨めば祐介は顔を反らして大口でケーキを食べた。



「祐介も甘いの好きなんだ?」


「……悪いかよ」


「悪くないよ、甘いもの好きな男子ってなんかいいよねー」



前々から思ってた。デートの時に遠慮せずにスィーツ巡りとか出来るって幸せじゃん。


優衣の彼氏さんみたいに優しい人ばかりじゃない訳だし、私の中では好きなタイプの重要ポイント。


悠斗も、甘いもの好き。
どんだけ私の手料理を貶しても、食後のデザートだけは満足してくれる。


美味しいとは言ってくれないけど、表情が語ってくれて……。私はそれだけで十分幸せだった。



「今度、甘いもん美味い店連れてってやるよ」



「へっ?私!?」


「……アンタ、うまそうに食ってっから」




まさかのお誘いに、頭の中がついていけない。軽いパニック。



なんで?


悠斗に酷い仕打ちをされてるから?友達として?


てか、悠斗の陰謀?


ワケ分かんない。




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