カウントダウン
屋上から見た空は厚い雲が覆っていて、なんだか私の心とおんなじモヤモヤ感。
「さっき、ね―――――…」
悠斗に連れられて、見たままを優衣に伝えた。
自分の気持ちは、盛り込まないで淡々と状況だけ。
「―――…なるほど、つまりその状況を見て逃げ出したくなるほど彩音は祐介君に本気になっちゃったんだ。それで納得いったよ、あんなに一年記念まで別れないって何度も言ってたのに急に今日別れるとか言うんだもん。あ、もしかして昨日のデート、なんかあった?」
「……うん。あのね、好きって告白されたの。私もね、言われる前からずっと気になる存在にはなってたんだけど、昨日……本当に楽しかったの。あ!ホモ疑惑も違ったみたいだし。でもさ、好きって言ってくれたのに、体は別物なのかな?
駄目だね、私。悠斗で馴れてる筈なのに、なんで私以外に触れるの?とか自分の彼氏でもないのにワガママに思っちゃって
私じゃなくてもいいのかな?とか、例え悠斗と別れて祐介と一緒にいても、結局悠斗と同じで私以外もっ……」
言ってるうちに、後から後から涙が溢れた。
「彩音、人を好きになるって、誰だって欲深くなるしワガママにもなるよ。私だって自分の彼氏が他の女の子に手を出してたなんて知ったら大暴れする」
「優衣の彼氏さんはそんな事しないよ」
「そんなの分からないよ。でも、分からないからこそアタシは頑張ってるつもり。アタシから離れていかないようにって、努力してる。お互いに理解し合えるように話、たくさんしてる。
ねぇ、祐介君の過去は祐介君しか知らないよ。だから、祐介君とも話、してみなよ」
「うん……」
「溜まり場の事も、もしそれが本当だったら彩音は祐介君を嫌いになるの?諦める?」
溜まり場の事。昨日、祐介は先輩や仲間と集まって喋ってたり、バイクいじってたりするだけだって言ってた。
でも悠斗はヤリ部屋みたいなものって。
「まあ、どっちにしても悠斗君ときっちりケジメ、つけな。じゃあごはん早く食べちゃお!」
明るくなだめるように促す優衣は、太陽みたいに暖かかった。