パステルカラーの恋模様
―…


キーンコーンカーンコーン。


「はぁ…」


結局あたしは、明日香に断られ、放課後一人とぼとぼと帰る事になった。



ここはいっそ、一人カラオケでもいっか?!

いやいや、よけいに虚しいって…。



またいつもの様に運動部の意気込んだ声が横を通り過ぎていく。



ああ、あたしもきっと、運動が得意だったら、心の中のモヤモヤを少しでも晴らせる事ができるのかな。


思いきり走ったり、ボールを追いかけたりしたら、きっと。



「…よしっ」



あたしはすぅーっと息を吸って吐いた。


バス停まで駆け足!

そう思って、スタートダッシュのポーズを構えた時だった。



「あれ~、美園。おーい」


げっ!

後ろを振り向くと、啓太が立っていた。


タイミング悪いよ、啓ちゃん!



…結局二人並んで、自転車置き場まで歩く事に。



ああ、ダメだ。

やっぱり意識してる、あたし。


啓太の横顔をちらっと見て、また前を向く。

< 73 / 257 >

この作品をシェア

pagetop