パステルカラーの恋模様
「美園、何か急いでたの?」

「いや…た、たまには運動しなくちゃなー、なんて思っただけ」

「ふぅーん…。何でまた?」



啓太が「ん?」と返事を促す。



「それは…って、別に何でもいいでしょ!そういうの聞くのを、野暮っていうの!分かった?!」

「あい!すいませんでしたぁ~…うおっとっと…っ」



啓太はよろけて、ガンッと音を立てて、傍に置いてあった自転車に激突した。


「あ、いった!」と顔をゆがめて、ぴょんぴょん跳ね上がる。



あ~あ~あ~!



「ちょっと何やってんの!まったく…って、えっ?!嘘!」



自転車は次々に倒れだし、ドミノ倒し状態。

嘘ぉ?!



「きゃ~~っ!ちょっと、止まって~!」


結局、一列全滅。

チーン。



「はぁ~…最悪…」



自転車を1台ずつ起こしながら、大きなため息をついた。

ストレスがまた増えたじゃないの!



ていうか啓太、今日は、いつにもましてふわふわ、ふらふらしてる気がするんだけど…

大丈夫か?気のせい?



「ねえ、啓太…。アンタ、酔っ払ってないよね?」

「え~?まっさかぁ…」



そう言ってへらへらと笑う啓太。

ゼッタイ酔っ払ってる!



ていうか、何か顔赤いし…。




ん?待って?

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