約束のノート
舞台袖に、遥がいた。


泣きじゃくり、うずくまっている。


美雪たちも一緒だ。


『ダメなの』


「ダメなこと無いっ。遥は、頑張っているんだからっ」


俺はトイレで頭を冷やして、戻ってくる。


「光一っ」


翔平が駆け寄る。


「頭は冷えた。大丈夫だ」


「遥っ。自信を持ってっ」


『できない・・・』
ふるふると、首を振る


会話も成り立っていない。


『こえがだせないのに、主役なんてできない』


あの高校生の言葉。


それは、遥からすべてを奪う言葉だったんだ。


勇気も。


自信も。


気力さえ、奪う言葉だったんだ。


「遥っ」


俺は駆け寄る。


「きっと、大丈夫だからっ・・・自信を持て」


「・・・・・・」
ふるふる。


もう、言葉を連ねることもできない。


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