【短篇】こ い い ろ 。
なんて、全然くだらなくなかった訳で。
「えっ」
思わず声を出してしまった私に、金田と裕也の視線が刺さる。
「なに圭子、興味ないフリして聞き耳を立ててたとはな〜」
「うるさいな、あんた達が大声で喋るから聞こえてたのよ」
別に、聞きたいわけじゃないし。
なんて、どちらとも目も合わせずに嘘を吐いてみると、裕也は「ごめん」なんてこちらを見ずに私に告げて。
金田に「じゃ、後で」と言って離れた自席に向かう。
そういうところが、嫌い。何よ、好きな人なんて。生意気。
中学生の頃は全然そんなんじゃなかったじゃん。
好きな奴なんていねーよって言って、耳真っ赤にしてたのに。
……嫌いで、大嫌いで、涙が零れ落ちそうだった。