【短篇】こ い い ろ 。
『……藍川?』
「ごめん竹本君、お願い、お願いがあるの」
『何かあった?すごく息が切れてるような……』
「竹本君お願い、コンビニに来て」
昨日の、コンビニ。
私はスウェットにファーのついたジャンパーを羽織って好きなキャラクターがついているスリッパを履き、玄関を勢いよく開けた。そしてあのコンビニを目指して走る。
『どうして急に』
「伝えたいことがあるの」
『だったらメールで』
「メールじゃだめなの」
『わかった、行く』
電話越しにだだだ、と彼の足跡が聞こえる。階段を下りる音だ。そしてがちゃりという音が聞こえる。玄関のドアを開ける音だ。そしてぷつり、と電話が切れた。目の前に彼がいた。
コンビニは、もうすぐ目の前だった。