【短篇】こ い い ろ 。
びっくりして「うわっ」という声がでる。
携帯を見ると、竹本君からのメールだった。
何を言われるのだろう。恐る恐る携帯を開くと、また私の心臓が跳ねた。
[俺、お前のこと好きだ]
嘘だ。
嘘だ、これは嘘だ。竹本君はモテないわたしをからかっているんだ。と思いたいが、竹本君はそういうことをしない人だ。嘘もつかない人だ。いつもわたしがみていた竹本君の瞳は、何事にもまっすぐ、真剣に立ち向かっていた。勉強にも、趣味を語るときも、体育祭のときも、学校での清掃活動のときも、毎日される告白にも。わたしはいつも、みてた。いつも、みてた……?
知らなかった。わたしは、振り返ればずっと竹本君を見ていた。話した事はあまりなかったけど、だけど、いつも目で追っていたのは事実だ。それに気づかなかった今までがバカみたいだ。
好き、そうか好きだ。わたしは竹本君が好きだ。なんでかはわからない。ただあの瞳を見て、私の中で何かが芽生えた。
彼はわたしのどこが好きになったのだろう。何を見て、何を想って彼の中で私に芽生えたのだろう。そう考えれば、わたしの手は無意識に着信履歴を開いていた。そして通話ボタンを押す。
今、彼の声が、ききたい。
彼に会いたい。彼に言いたい。好きだと言いたい。