カモミール・ロマンス

街の中心を渡る大和川。

広いって言うほど川幅があるわけでもない。

速いって言うほど流れが急なわけでもなく、いつでも数匹の鳥が悠々と泳いでいる様なそんな川。

河川敷には歩道が整備されていて、点々と木製の丸太のベンチが設置されている。

「さぁ、探すぞぉ!」

真っ先に河川敷へと下っていったのは勇気だった。

「あ、ちょっと待ちなさいよ」

次いで美咲が階段を掛け降りて、翔がゆっくりと降りていく。

「ナオ、早く早く」

一番下まで降りた翔が振り返って、まだ階段の上でぼーっとしている直也を呼んだ。

のろのろと階段を降りる直也を待って翔達も勇気と美咲のいる場所へと向かう。

「綺麗な緑だなぁ。」

特に整備されているわけではなく、自然とのびのびと育った河川敷の緑。

勇気と美咲はその中でしゃがみこみ、一心不乱に綺麗な花を探していた。





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