カモミール・ロマンス
元気な黄色はセイヨウタンポポ。
その影で揺れるカタバミに、淡い青い小さなオオイヌノフグリ。
そして三つ葉の白い可愛らしい花が太陽に照らされている。
「いやーん。どれも可愛くて迷っちゃうなぁ」
美咲はもう気分はお姫様にでもなっているのだろうか、乙女モード全開である。
「うわぁ綺麗だねぇ。ちっちゃくて可愛い花もいっぱいだ」
遅れてきた翔と直也が草むらに入ってきた。
翔は美咲の近くにしゃがみ、オオイヌノフグリをそっと愛でる。
「僕はこの花好きだな。儚いけど強い青色で」
美咲はそう言った翔を見て笑う。
「それはオオイヌノフグリって言うんだよ。本当にちっちゃくて可愛いよね。私も好きだよ」
そんな2人には見向きもせずに必死に何かを探している勇気。
「んー、ない。ないない、これは……違うか」
三つ葉の群生の中で何かを必死に手でさぐっていた。